【令和4年第3回区議会定例会 最終日】
本年、公明党は党創立者より立党精神が示されて60年の佳節を迎えました。
具体的には「大衆とともに」「団結第一」「たゆまざる研鑽」の3つの指針を不変の原点としてこの間、脈々と受け継がれてきました。
その一方、世界は今、3回目の冬を迎える新型コロナウイルスとの闘い、ロシアによるウクライナ侵略がもたらす影響、さらに物価高騰など「多重危機」と言うべき事態に見舞われており、日本を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。
その中で、庶民にどこまでも寄り添い、生活と暮らしを守る行動と実践が今ほど求められる時はありません。この誇るべき立党精神を今一度胸にたぎらせ、人格と見識を磨き、「庶民を照らす地域の太陽」としての使命を果たしてまいります。
それでは、令和3年度世田谷区一般会計決算ほか四特別会計に賛成の立場から公明党世田谷区議団の意見を申し述べます。
令和3年度は、まさに新型コロナウイルスとの戦いに終始した1年でありました。
収束が見通せない中で、地域経済は予断を許さない状況が続き、一般会計最終予算額は3,783億5,800万円となる一方で、国庫支出金の大幅な減少、ふるさと納税による特別区民税の減収など前年度比マイナス68億3,200万円という決算状況に至っています。
特に、新実施計画(後期)の計画期間において、成果指標の達成数が全体の1/3に留まっているのは、深刻な区政運営を象徴していると言わざるを得ません。
今後、金融緩和を続ける日本と、利上げを進めるアメリカとの金利差が拡大することによる貿易赤字や、円安がさらに進むことによる懸念、我が国の経済成長力の弱さも露呈されており、どう乗り越えていくのか、が問われています。
しかしながら、我が会派が長年求めてきた新公会計制度が、導入後も最大限に活かされず、未だに重複事業が山積したままであります。
今、直面している課題をどう乗り越えるのか、方向性すら示すことなく、その気概すら感じられません。まさに、行政運営における財政改革を不断の決意で進め、変化の大きい社会状況を見極めながら、機動的に対策を講じていくとともに、新たな経済の活力を生み出す取り組みへと打って出るべきです。
参加と協働だけではこの難局を乗り越えることはできない、と断言しておきます。
さて、決算特別委員会の各所管で取り上げました個別課題は、今後注視してまいりますが、我が党として最重要課題として捉えている施策について、改めて6点申し上げます。
第一に、未来への投資についてです。
平成29年より我が党は、未来への投資と題して、①幼児教育の無償化、②学校給食の完全無償化、③新BOP学童クラブの開設時間の延長、④休日・夜間の認可保育園の開設、⑤児童館改革と未整備地区への整備 の5つのテーマを公約として掲げて、教育負担の軽減と併せて、実現に全力を挙げてまいりました。
この間、再三求めてきました学校給食の完全無償化については、3年目に突入したコロナ禍による経済動向や物価高騰という、急激に変化する社会状況に迅速に対応するためにも、時宜を逸することなく、来年4月から、所得制限を撤廃した、給食費完全無償化の決断を改めて求めておきます。
また、従前より訴えてきました新BOP学童クラブの時間延長についても、喫緊の課題である人材の確保への対応が困難な場合は、民間委託も視野に入れた運営体制に改善した上で、来年4月から全校での実施を改めて求めます。
さらに、児童館閉館後の活用については、本来児童館が受け止めなければならない子どもたちや中高生の居場所を区が運営できないのであれば民間活力を導入すべきです。決して場所貸しのような事業としないことを求めます。
第二に、物価高騰に負けない地域づくりについてです。
コロナ禍、物価高騰の影響は、低所得世帯やひとり親世帯のみならず、中間所得層にも大きな打撃を与えています。国は、低所得層への支援を強化していますが、賃金上昇のないまま物価だけが高騰しており、国内のスクリューフレーションの深刻化も課題となっています。
基礎自治体として、国の支援がない中間所得層、単身やご夫婦のみ世帯に対して、地方創生臨時交付金を活用するなどして取り組むことを求めます。
また、「せたがやPay」手数料の無償化再延長など、個店支援の継続も求めておきます。
第三に、行財政改革についてです。
限りある財源と人材を有効に活用するため、これまで再三にわたり指摘し、具体的な提言も行ってきましたが、一向に改善に向けた取り組みも予兆もありません。
改めて、職員定数と適正配置を進めるため、区直営と民間活用の基準を明確化し、職員定数計画を策定し取り組むことを求めます。
また、重複事業の統廃合や、活用が十分でない公有財産を有効に活用するため「稼ぐ公共」の概念を取り入れ、全事業評価を常時客観的に行う所管の常設を求めます。
第四に、災害に負けない地域づくりについてです。
北朝鮮によるミサイル発射が連日続く中、今月4日にはJアラートが発出される事態ともなりました。さらに、自然災害の激甚化、頻発化に伴い、突風、竜巻、雹などの被害拡大を踏まえると、区民の命を守るために、公共施設1階や地下部分を強化するなど、いざという時に逃げ込める堅牢性を兼ね備えた公共施設のシェルター化を進めることを求めます。
また、安全な在宅避難が進められるよう、住まいの実情に合った災害対応型住宅装備助成制度の創設や集合住宅に対する支援策の拡充を求めておきます。
第五に、健康寿命延伸についてです。
高齢化社会が進む中、75歳以上でも介護保険サービスを利用せず、日常生活を送っている方がいます。
その様な方々が、一層介護予防に努められるよう家族介護慰労金制度を見直すなど、新たなインセンティブを導入すべく、キャッシュバック制度の導入に向けた積極的な検討に取り組むべきです。
さらに、健康寿命の延伸のため、特別養護老人ホームなどに設置されている地域交流スペースなどをフル活用し、場の確保や創出を図ることを求めます。
第六に、デジタル化に伴う情報格差を解消する取り組みについてです。
区は、高齢者などデジタル機器に不慣れな方への支援として、まちづくりセンター単位でスマホ教室を実施しています。
しかし、行政が実施するのであれば、マイナポイント第2弾や「せたがやPay」の利用などの具体的な利用方法など、実践的な内容を軸として期間設定も含めてタイムリーに行うべきであることを、我が党は再三要請をしてきましたが、実際は、スマホ教室開始時期がキャンペーン終了後となるまちづくりセンターもあるなど、恩恵を受けられない方への配慮が全く感じられません。さらに、行政の大原則である最小の経費で最大の効果をあげることを軽視し、関係する所管との連携も未だ行っていないということが明らかとなりました。
早急にまちづくりセンターに相談窓口を設けるなど、情報格差を無くすための取り組みへ、丁寧かつ区民へ寄り添うよう実施することを求め、以上で、公明党世田谷区議団の賛成意見といたします。